ボードゲームとの違いからわかる、マーダーミステリーが“演じる体験”である理由

「マーダーミステリーってボードゲームの一種でしょ?」
そう思っている人も多いのではないでしょうか。
確かにテーブルを囲み、会話と推理を楽しむ点は似ています。
しかし実際に体験してみると、マーダーミステリーは“ゲーム”というより“物語”に近い存在です。
この記事では、ボードゲームとの違いを通して、マーダーミステリーの本質を解説します。
ボードゲームとは?
ボードゲームは、ルールと勝敗が明確に定められた“競技的な遊び”です。
プレイヤーは与えられたルールに従い、点数・資源・カードなどを用いて勝利を目指します。
代表的なものには『カタン』『人狼』『ディクシット』『ドミニオン』などがあります。
ボードゲームは「ルールの中で戦略を立てる遊び」。
マーダーミステリーは「物語の中で心を動かす体験」。
マーダーミステリーとの違い
ボードゲームとマーダーミステリーの最大の違いは、“目的”と“没入感”にあります。
ボードゲームは勝敗が目的であり、ゲームの結果で盛り上がります。
一方でマーダーミステリーは、勝ち負けよりも「登場人物としてどう生きるか」を楽しむ体験です。
| 比較項目 | ボードゲーム | マーダーミステリー |
|---|---|---|
| 目的 | 勝利・得点を競う | 物語を体験し、真相を解き明かす |
| ルール | 数値・手札・リソース管理 | 会話・設定・心理戦中心 |
| プレイ時間 | 15〜90分程度 | 120〜180分(演出含む) |
| 再プレイ性 | 何度でも遊べる | ネタバレにより一度きりの体験 |
| 勝敗の概念 | 明確な勝者が存在 | 「真相解明」や「物語体験」に価値がある |
| 演出要素 | 最低限の素材(カード・ボード) | 照明・音楽・空間演出が重要 |
遊び方と目的の違い
ボードゲームは「ルールを理解して、勝利条件を達成する」ことが目的です。
そのため、合理的思考・戦略性・判断力が求められます。
一方でマーダーミステリーは、「登場人物の視点で行動する」ことが中心。
数値的な判断よりも、感情や物語の流れに基づいた“人間的な選択”が求められます。
- ボードゲーム → 「勝つための思考」
- マーダーミステリー → 「物語を動かす思考」
“没入感”が生まれる理由
ボードゲームが「ルールに没頭する」遊びなのに対し、マーダーミステリーは「物語に没入する」体験です。
プレイヤーはキャラクターとして話し、動き、時には嘘をつく。
その一言が物語の運命を変える緊張感と臨場感こそ、マーダーミステリーの醍醐味です。
ボードゲームでは“戦略”が勝敗を決める。
マーダーミステリーでは“感情”が物語を決める。
さらに、照明・BGM・セットなどの演出が加わることで、まるで映画や演劇の中に入り込んだような没入感が得られます。
これはボードゲームにはない、“リアル体験型エンターテイメント”ならではの魅力です。
まとめ:マーダーミステリーは“語るゲーム”
ボードゲームとマーダーミステリーは、どちらも人と人が向き合って遊ぶ“会話のエンタメ”です。
しかし、目的と感情の使い方がまったく異なります。
ボードゲームは「勝利の瞬間を競う」。マーダーミステリーは「物語の中で生きる瞬間を共有する」。
勝敗よりも、会話・演技・感情の流れに価値を見出す点が、マーダーミステリーが“演じる体験”と呼ばれる理由です。