人狼ゲームとの違いからわかる、マーダーミステリーが“物語を生きる”体験である理由

「マーダーミステリーって人狼と似てるよね?」
そう言われることは多いですが、実際に体験するとまったく別の方向性を持っています。
どちらも会話と推理が中心ですが、マーダーミステリーは“ゲーム”というより“物語”に近い。
このコラムでは、人狼との違いを軸に、マーダーミステリーの本質を解き明かします。
人狼ゲームとは?
人狼ゲームは、村人の中に潜む“人狼”を見つけ出す会話型推理ゲームです。
プレイヤーはそれぞれの役職(村人・人狼・占い師など)を持ち、昼は議論、夜は行動によって陣営ごとの勝利を目指します。
その目的は「勝つこと」、つまりチームとしての勝敗が軸になります。
人狼=「勝敗を競うゲーム」
マーダーミステリー=「物語を体験するゲーム」
マーダーミステリーとの主な違い
マーダーミステリーと人狼は、いずれも“会話”と“推理”を用います。
しかし目的・構造・感情の扱い方がまったく異なります。
一言で言えば、人狼は「勝つための論理ゲーム」、マーダーミステリーは「登場人物として生きるドラマ体験」です。
| 比較項目 | 人狼ゲーム | マーダーミステリー |
|---|---|---|
| 目的 | チームの勝利(村人 vs 人狼) | 物語の真相を探り、各キャラの目的を果たす |
| プレイヤーの立場 | 役職(チーム)として行動 | 登場人物(個人)として行動 |
| 情報構造 | 一部の人だけが真実を知る | 全員が異なる情報を持ち、全体で真相を構築 |
| 進行 | 昼夜のループ形式 | 一度きりの物語進行(2〜3時間で完結) |
| 勝敗の定義 | 陣営が勝つ・負ける | 真相解明・感情の決着など多面的 |
| リプレイ性 | 何度でも遊べる | ネタバレにより一度きり |
ゲーム構造の違い
人狼は論理的思考と駆け引きのゲームです。
「誰が嘘をついているか」「どこに矛盾があるか」を見抜くスキルが求められます。
対してマーダーミステリーは、“キャラクターとしての感情”や“物語上の選択”が中心。
嘘をつくこともありますが、それは勝つためではなく、「物語を成立させるための嘘」なのです。
- 人狼:勝敗のある論理ゲーム
- マダミス:結末を共に創る物語体験
- 嘘=勝つため → 嘘=物語を成立させるため
感情体験の深さ
人狼では、議論の中で心理戦や緊張感を楽しみます。
しかしマーダーミステリーは、キャラクターとして“感情を演じる”要素が強い。
悲しみ、怒り、後悔、友情――そのすべてが物語を動かす力になります。
つまり、マーダーミステリーでは感情そのものがゲームの一部です。
人狼は「嘘を見抜くゲーム」。
マーダーミステリーは「心を読み、物語を生きるゲーム」。
まとめ:推理から、物語の“生き方”へ
人狼とマーダーミステリーは、どちらも人との会話を楽しむ体験型ゲームです。
しかし、人狼が「勝敗」を目的にした推理戦なのに対し、
マーダーミステリーは「物語の中でどう生きるか」を味わう物語体験です。
一度しかできないという“儚さ”も含めて、マーダーミステリーはまさに“演じるエンタメ”。
ゲームの勝ち負けではなく、自分の感情が物語に溶け込む瞬間を楽しむのが本質です。