イマーシブシアター(没入型演劇)との違いからわかる、マーダーミステリーの本質



イマーシブシアター(没入型演劇)との違いからわかる、マーダーミステリーの本質

“観る”から“体験する”へ。
物語への没入を楽しむ「イマーシブシアター(没入型演劇)」と「マーダーミステリー」は、近年よく比較されるジャンルです。
どちらも観客が物語に入り込む体験ですが、実は「主導権のあり方」に大きな違いがあります。

イマーシブシアターとは?

イマーシブシアター(Immersive Theater)は、観客が舞台の中に入り込み、演者と同じ空間で物語を体験する“没入型演劇”です。
代表的な例としては、観客が自由に歩き回りながら物語を観察する形式(例:「Sleep No More」など)があります。
観客は「物語の世界に入り込む客体」でありながら、物語を間近に感じられるのが魅力です。

イマーシブシアター=“観客として参加する演劇”
マーダーミステリー=“登場人物として参加する物語”

マーダーミステリーとの違い

両者の最大の違いは、「物語を動かす主体」が誰かという点にあります。
イマーシブシアターでは観客は“世界を体験する存在”であり、物語そのものは演者が進めます。
一方でマーダーミステリーは、参加者一人ひとりが登場人物となり、行動や発言によって物語を動かします。

比較項目 イマーシブシアター マーダーミステリー
観客/参加者の立場 物語を“体験する観客” 物語を“動かす登場人物”
物語の進行 演者によって固定された脚本 プレイヤーの選択で変化する展開
体験の目的 世界観・演出の没入を味わう 推理や感情のドラマを創る
観客間の関係 基本的に会話は少ない 会話・交渉・心理戦が中心
参加回数 同作品を複数回観てもOK 一度ネタを知ると再体験不可

体験構造の比較

イマーシブシアターでは、観客は“外側”から物語を体験します。舞台装置・演技・照明・音楽など、プロの演出によって世界観が完成しています。
それに対し、マーダーミステリーは“内側”から物語に関わる体験です。参加者の発言や推理が、そのまま世界の一部として反映されます。

構造的な違いまとめ

  • イマーシブ:演者主導の体験
  • マダミス:参加者主導の体験
  • イマーシブ=完成された演出を味わう
  • マダミス=物語を共同で創る

感情体験の違い

イマーシブシアターは、観客として“感情を受け取る”体験です。
俳優の演技や演出によって感情を刺激され、世界に没入します。
一方でマーダーミステリーは、自分の感情が物語の一部になります。
登場人物として怒り・悲しみ・喜びを選び、他者との関係性を築くことでドラマが生まれます。

イマーシブシアターでは感情を“観る”。
マーダーミステリーでは感情を“創る”。

まとめ:あなたが物語を動かす瞬間

イマーシブシアターとマーダーミステリーは、どちらも“物語への没入”を提供します。
しかし、イマーシブシアターが「完成された世界に入り込む体験」なのに対し、
マーダーミステリーは「あなたの選択が物語を変える体験」です。
演劇ファンの方がマーダーミステリーを体験すると、“自分が演じることで物語が動く”新しい衝撃を味わえるでしょう。

to top to top